BL読者歴7年のFさん(匿名・女子大生・20台前半)に
「BLの性描写を読んで、マスターベーションをすることはありますか?」という
疑問をぶつけたところ、「しない」と一蹴されてしまいました。
インタビューの方向転換をした僕は、”腐女子の幸福/不幸”に重点を置いた質問をすることに。
腐女子の人生は普通の女子の人生よりも、幸せなのでしょうか?
山ほど流通しているBLの数々
■□■BLは隠すべき趣味?■□■
ASUKA(以下、A)「BLという趣味が、”ダサい””キモい”と言われることもあると思います。その点はどう考えていますか?」
Fさん(以下、F)「むしろ腐女子であることに優越感を持ってるかもしれないです。皆が知らない趣味を楽しんでるわけですからね」
A「特に男性の中には、BLを嫌悪する人もいますが」
F「高校時代は、自分から『私はBLを読んでる』と異性に言うことはしませんでした。仮に『BL読んでるの?』って訊かれたとしても、信頼してない相手だったら、はぐらかしましたね。幸いにして、私は腐女子だからっていう理由で心無い言葉を浴びせられたことはなかったですけど。BL好きを、しっかりと公言するようになったのは大学生になってから。大学の場合、自分の趣味を受け入れない人とは接しなければいいだけなので、趣味をオープンにするのが楽なんです」
BLの社会的イメージを認識しつつも、
FさんはBL読者であることに、優越感を覚えていると語っています。
■□■「普通の女子」に比べ、腐女子は不幸?■□■
A「いわゆる“普通の女子”がBL読まないのはなぜでしょう?」
F「リアルで楽しんでるからじゃないですかね。家でいる時間・一人でいる時間が多いと、BL読むようになる傾向があると思う。あとは、周りの環境。私の場合、高校時代の部活の友人には腐女子しかいなかったんですけど、見事に周りに染められていきました」
A「普通の女子と、腐女子であるFさんの幸せの総体を比べると、どちらが大きいと思いますか? 一見、普通の女子の方が幸せそうに思えるのですが」
F「幸せの総体か……。遜色ないと思う。幸せ度は、上でもないし下でもない。確かに、BLを漁ってる時に、『何やってるんだろうな』って思う自分もいるんです。『ほかの人は、この時間を使って、もっと有効なことをしてるのに』って。でも、隠れた趣味を持ってる自分が誇らしいというか……。ほかの人が知らない人生の楽しみ方を知ってるように感じるんです」
アニメイト新宿店。「ほかの人が知らない楽しみ」を求めて多くの人がやってくる
■□■BLへの想い。そして今後■□■
A「BLを読み始めて7年。その間、生活・趣味・人間関係の変化などがあったと思います。それでもなお、BLから離れなかったのはなぜですか?」
F「……たぶん、BLを読むことが習慣なんだと思います。
高校入って以降、私、彼氏が途切れたこともないし、現実での恋愛に満足してないわけではないんです。
それでも、日々の生活の中で、完全に満たされることはない。
トキメキだったり、同じ趣味を持つ人との仲間意識とか、人とは違う自分のアイデンティティとか、
そういうものを、私はいつも求めてるんですけど、
それらを与えてくれるのがBLなんです。
だからこそ、BLを読むことが習慣化されて、生活の一部になったんじゃないですかね」
A「今後もBLを読み続けますか?」
F「まったく読まなくなる可能性もあるし、読書量が増える可能性もある。
就職後、仕事が忙しくなったり、子供が出来たりしたら、BLに当てる時間が無くなって、読まなくなるというのが一つの考え。
でも、リアルが多忙になることで、現実逃避の手段としてBLにすがるという考え方もあると思います。
自分がどっちになるかはわかりませけど」
■□■終わりに■□■
「腐女子であることに優越感を持ってる」
「隠れた趣味を持ってる自分が誇らしい」
などのコメントからは、
FさんはBL読者≒腐女子という自らのアイデンティティを、
心から誇りに思っていることがうかがえます。
本ブログで取り上げたアームカッターのDさんについて、
共同管理人の潤pさんはこのような感想を抱いています。
普通の人が経験したことがないことを経験すると、
自分が特別な存在のように感じられて、自分の自信に繋がる。
(中略)
実はこれ、結構誰にでもある感覚じゃないでしょうか?
(中略)
Dさんの心奥底に根をはる意識には、共感できてしまう点がたくさんあるのです。
BL読者と自傷行為者を同列に扱うことはできませんが、
人とは違った何か(=人には言えない趣味・経験)を抱えることを、
自らの自信につなげようという姿勢は、FさんもDさんも同じであるように見受けられます。
次回はBL読者インタビュー最終回。
腐女子がBLを読む際のイマジネーションを掘り下げます。
腐女子の幸せって?
⇒差異化された趣味を持つことで、自分の自信を深められる!