かつてASUKAがした取材に「出世意識調査」
というのもがありますが、
あの調査は、あくまでも学生目線のもの。
出世に関する、さらなる考察をすべく、
人材・求人広告の営業を中心に事業展開をしている企業の新卒2年目のTさん(23)に、
あれこれ語っていただきました。
調査協力者プロフィール
お名前:Tさん(もちろん仮名)
性別:女性
年齢:23歳(1992年生まれ)
出身大学/学部:立教大学/文学部
就労業界:人材、広告
職種:営業
就労期間:1年2ヶ月
役職:なし
所得:「飲み会で使いまくってるんで、よく分かりません(笑)」
社会人は「出世」を望んでいる?
ASUKA(以下、A):Tさんには、事前に「出世意識調査」のラジオを聞いていただきました。あれに関する感想は?
Tさん(以下、T):予想通り。「責任を負うのが怖い」というコメントが多くありましたが、それについては「やっぱりそうだよなー」という感じです。
A:多くの学生は「出世に対して興味はない」と言っていましたが、社会人の方々の出世に対するいしきは、どうなのでしょうか?
T:“多くの社会人はそこまで出世を望んでいない”というのが、私の勤めている会社における一般論みたいです。私の今の仕事は法人向け営業なのですが、企業の担当者と話していても、それを感じることがあります。
出世意欲は、仕事のやりがいの延長線上にあるものだと思いますが、大半の人は、仕事のやりがいよりも、待遇の面に関心を持っています。
転職をする人の多くも、「キャリアアップしたいから」ではなく「今の環境が嫌だから」ということを口にする傾向があるようです。
A:待遇というキーワードが出てきましたが、求職者の賃金的な面への関心はどうなのでしょう?
T:多くの求職者は、賃金に関して「ある程度」を望んでいる印象があります。付け加えると、彼らは中長期的な視点での待遇・給与についではなく、あくまでも目先の賃金にのみ関心があるようです。
新しい「出世」の形が必要
T:人々の出世意欲が高まらない要因としては、会社組織の構造も挙げられると思います。
ほぼすべての会社に共通して言えることですが、「出世」とは「マネジメント職に就く」ということなんです。主任は平社員をマネジメント、課長は主任以下をマネジメント、次長は課長以下をマネジメント、部長は次長以下をマネジメントという具合に、出世をすればするほど、仕事におけるマネジメント範囲が大きくなっていく。
A:特定の職種に愛着ややりがいを感じている人は、出世に抵抗を抱くかもしれませんね。
T:優れた営業マンが優れたマネージャーになれるとは限りませんし、その逆もしかりです。経験や業績を積んでもマネージャー職にならずに給与体系が上がっていく、いわゆる「スペシャリストコース」を導入している企業もありますが、そのようなシステムをより多くの会社が導入すれば、人々の意識も変わるかもしれません。
もちろん、会社ごとに組織構造やポストの数が異なるので、そう簡単なものではありませんが。
「出世したい」と語るTさんの想い
A:Tさんは出世したいですか?
T:やっぱりマネジメントする立場には就きたいなと思ってます。上司を見ていると「私だったら別のアプローチをする」と考えてしまうんですけど、組織の中で一番下っ端の私が何かを思い描いたところで、それを実行に移すことはできません。
A:世の中の多くの就労者に比べて、Tさんは「意識の高いOL」ですね。
T:そういうことになると思います。個々人の就労へのモチベーションはそれぞれで構わないと思いますけど、私としては、仕事の時間を充実させてこそ人生が豊かになると考えているので、OLとしての自分を高めていきたいですね。
あとは、今の会社が好きということもありますね。私にとって会社は、お金を稼ぐ場というよりも、中高の部活の延長線上にあるものという位置づけなんです。チームの仲間の皆とゴールに向かって頑張るという点では、部活も就労も同じですから。
A:周囲に与える影響や、負わなければいけない責任という点では、部活と就労には大きな差があるように思えます。
T:それは間違いないですが、私はそのポイントをポジティブにとらえています。部活のような楽しさがあるうえ、世の中に大きな影響を与えることができるのが、社会での就労です。その意味では、部活よりもさらにやりがいと楽しさがあるように、私は思うんです。
部活的楽しさが働く楽しさに繋がっているというTさん
ASUKA考察
出世を望まない世の中の人を、出世を望んでいるTさんが語るという構図のインタビューとなりました。
出世を望まない人とTさんの間にあった大きな相違点としては、仕事対する考え方。
出世を望まない人は、仕事に対して「良い待遇」を望んでいる一方、Tさんは仕事に「部活のような楽しさ」と「社会的影響力」を求めていることがうかがえます。
下のポジションでも「部活のような楽しさ」「社会的影響力」を感じることはできるものの、これらの「やりがい」は、出世をしてマネジメントをする立場になることで、より大きくなると考えられます。
ただ、ここでASUKAが主張したいのは「部活のような楽しさ」「社会的影響力」を感じることができることが難しい人もいるということ。
青春時代に部活動等の楽しさを感じた経験がある人は、会社における就労でもその楽しさを積極的に求めることができるはず。しかし、そのような経験がないまま大人になった人の中には、部活的楽しさを感じることが難しい人もいるかもしれません。
また、「社会的影響力」を感じるか否かに関しては、自らが携わっている事業内容に依存するところが多いと言えると思います。Tさんは広告業界に勤めていますが、その業界は社会に対する自らの影響力をダイレクトに感じやすいはず。一方、なかなか日の目を浴びることが少ない業界・企業に勤めている人は、それを実感しにくいことがあるかもしれません(もちろん、社会的役割を果たしていない企業など、ほとんどないわけですが)。
Tさん、ありがとうございました&今後も「やちゃいけ」をよろしくお願いいたします。